クビアカツヤカミキリを見つけたら?通報先と正しい対処法を解説
黒く光る大きな体に、首のような部分だけが真っ赤。「これ、クビアカツヤカミキリかも」と気づいたとき、困るのがその後です。
「市役所へ通報するの?」「捕まえた虫は持って帰っていい?」「殺してしまって大丈夫?」と、次の行動が分かりにくいんですよね。
クビアカツヤカミキリは、サクラやウメ、モモなどを枯らすおそれがある特定外来生物です。成虫を見つけた場合は、地域の案内に従いつつ、基本的には逃がさずその場で捕殺し、写真・発見場所・日時を残して自治体などへ情報提供します。
一方で、「特定外来生物だから、生きている個体はどんな場合でも絶対に1cmも動かせない」と覚えるのも正確ではありません。2023年4月から、カミキリムシ科の特定外来生物については、一定の要件を満たす小規模防除に伴う運搬に例外があります。
とはいえ、個人が自己判断で虫かごに入れて自宅へ持ち帰ったり、飼育したり、誰かに譲ったり、生きた個体を販売したりしてよいという意味ではありません。
この記事では、クビアカツヤカミキリを1匹見つけたところから、捕殺、通報、その後の確認まで「じゃあ今、何をすればいい?」が分かる順番で解説します。
- クビアカツヤカミキリを見つけた直後の対処
- 市役所などへ連絡するときに伝える内容
- 捕獲後の持ち運びや飼育に関する注意点
- 1匹いたときに周囲で確認したい被害のサイン
見つけたら最初にすること
クビアカツヤカミキリらしき成虫を見つけたら、「どこに電話しよう」と考える前にやっておきたいことがあります。逃げられてしまうと、その個体が別の木へ移動して産卵する可能性もあるため、できる範囲で落ち着いて対応しましょう。
まず写真を撮っておく
クビアカツヤカミキリらしい虫を見つけたら、できれば捕殺する前にスマートフォンなどで写真を撮っておきます。
写真に残しておきたいのは、全身と赤い胸部が分かる姿です。

クビアカツヤカミキリの成虫は、体全体が光沢のある黒色で、胸部が鮮やかな赤色をしています。体長は一般的な目安として約2.5~4cm。触角を除いても比較的大きなカミキリムシなので、見たときに存在感があります。
自治体へ連絡すると、「写真はありますか」「どこで見つけましたか」と確認されることがあります。そのため、虫だけを撮るのではなく、あとで場所が分かるよう周囲の木や景色も記録しておくと伝えやすいでしょう。
ただし、道路上など危険な場所で無理に撮影する必要はありません。写真よりも、あなた自身の安全が優先です。
逃がさずその場で捕殺する
クビアカツヤカミキリの成虫と判断できた場合、自治体や農政局ではその場で捕殺するよう案内しています。
方法としては踏みつぶすなど、確実に死んだ状態にする方法が案内されている例があります。
「珍しい虫なのに、殺していいの?」と少し抵抗を感じる人もいるかもしれません。
しかし、クビアカツヤカミキリは保護して逃がす対象ではなく、被害拡大を防ぐため防除が必要とされている外来昆虫です。幼虫がサクラ、ウメ、モモ、スモモなどの内部を食べ続け、被害が進むと樹木が枯れることがあります。
そのため、見つけた成虫を「かわいそうだから」と別の場所へ逃がすのは避けてください。
発見場所と日時を記録する
虫を捕殺したら、「どこにいたか」も忘れないうちに記録しておきましょう。
自治体が知りたいのは、単に「クビアカツヤカミキリが1匹いた」という情報だけではありません。
どこまで分布が広がっているのか、近くに被害木があるのかを知るために発見場所が重要になります。
公園なら公園名、道路なら交差点や目印となる建物、河川敷なら近くの橋などを残しておくと分かりやすいです。スマートフォンの地図で位置を保存しておく方法もあります。
あわせて「8月14日の午前10時ごろ」のように日時も記録しておけば、連絡するときスムーズですよ。
クビアカは通報するべきか
クビアカツヤカミキリを見つけたら、「110番するほどのことなの?」「市役所に電話すればいい?」と迷いますよね。警察への緊急通報ではなく、基本的には発見地域を管轄する自治体や関係行政機関への情報提供と考えましょう。
自治体へ情報提供する
農林水産省中国四国農政局では、成虫やフラスを見つけた場合、市町村や県の担当部署、県の病害虫防除所などへ連絡するよう案内しています。
(出典:農林水産省中国四国農政局「赤いクビに要注意!クビアカツヤカミキリ」)
自治体によって担当部署の名前は異なります。「環境課」「環境政策課」「みどり・公園関係の部署」「農政関係の部署」など、窓口は全国一律ではありません。
ですから、市役所へ連絡するときは「クビアカツヤカミキリらしい成虫を見つけたのですが、担当部署につないでもらえますか」と伝えるだけでも大丈夫です。
また、自治体によっては電話ではなく、ウェブ上の報告フォームを設置しています。
例えば埼玉県では、成虫やフラスを発見した人から情報を集める「クビアカツヤカミキリ発見大調査」を行い、スマートフォンから情報を送れるようにしています。
つまり、「クビアカツヤカミキリを見たら必ず全国共通の番号へ通報」という仕組みではありません。見つけた場所の自治体が出している最新案内を確認するのが確実です。
市役所に伝える内容
市役所などへ連絡するとき、長い説明を準備する必要はありません。
「クビアカツヤカミキリと思われる虫を見つけた」「場所は○○公園のサクラ付近」「今日の午前中」「すでに捕殺した」「写真がある」といった内容を伝えれば、担当者が必要な情報を確認してくれます。
特に役立つのは、発見場所と写真です。
さらに、虫がいた木の種類が分かれば「サクラにとまっていた」「ウメの幹の近くにいた」と伝えてください。
木の根元に大量の木くずのようなものが出ていた場合、その情報も重要です。成虫が1匹飛んできただけなのか、すでにその木の中で幼虫が育っているのかを考える手がかりになります。
初確認地域なら特に連絡する
クビアカツヤカミキリは、2026年8月時点で国内21都府県で発生が確認されています。
ただし、分布は固定されていません。2026年にも新しく発生が確認された県があり、今まで被害が知られていなかった地域で見つかる可能性があります。
そのため、「この県にはいないはずだから違う虫だろう」と自己判断して終わらせるのはおすすめしません。
むしろ、これまで発生情報を聞いたことがない地域で特徴のよく似た虫を見つけた場合ほど、写真と場所の情報が役立つ可能性があります。
本物か自信がない場合も、無理に断定する必要はありません。「クビアカツヤカミキリに似た虫を見つけた」と伝えれば十分です。
捕まえたらどうすればいい
すでにクビアカツヤカミキリを捕まえてしまった人は、ここが一番知りたいところでしょう。特定外来生物という言葉を見ると「触ることまで違反なのでは」と不安になりますが、捕殺するための捕獲と、飼育目的で持ち帰ることは分けて考える必要があります。
基本は捕獲場所で捕殺する
一般の人が成虫を見つけた場合、いちばん分かりやすい対応は捕獲した場所でそのまま捕殺することです。
農林水産省近畿農政局でも、見つけた際にはできるだけその場で駆除するよう案内しています。
死んだ虫体を自治体から確認したいと言われた場合は、自治体が指定する方法で扱います。
中国四国農政局でも、可能であれば写真を撮り、虫体については「殺虫済みのもの」を手元に残して自治体などへ連絡する方法を案内しています。
つまり、「本物か見てもらうため、とりあえず生きたまま家へ持って帰ろう」はしないのが基本です。
死骸は自治体の案内に従う
捕殺したあとの虫体をどうするかについても、自治体ごとに扱いが異なります。
写真による報告だけでよい地域もあれば、調査や奨励金制度などのために死骸を持参する仕組みを設けている自治体もあります。

そのため、「全国どこでも市役所へ死骸を郵送すればいい」といった共通ルールはありません。
まず写真と発見場所を確保し、地域の公式ページを確認。分からなければ市役所などへ問い合わせるのがいいでしょう。
触るときは無理をしない
クビアカツヤカミキリは、ハチのような毒針を持つ虫ではなく、自治体でも人体へ直接的な害を与える昆虫とはされていません。
ただ、カミキリムシには大きなあごがあります。わざわざ素手でつかんで観察する必要はありません。
また、高い枝や車道近くにいる個体を無理に追いかけるのも危険です。
「逃がしてはいけない」という言葉だけに気を取られて、転倒したり交通事故に遭ったりしては元も子もありません。自分で安全に対処できない状況なら、写真と場所を記録して自治体へ相談してください。
生きたまま持ち帰らない
クビアカツヤカミキリを捕まえたとき、特に注意したいのが生きている個体の扱いです。珍しい見た目なので「子どもに見せたい」「家で写真を撮りたい」と思うこともあるでしょう。しかし、普通の昆虫採集と同じ感覚では扱えません。
特定外来生物に指定されている
クビアカツヤカミキリは2018年1月、外来生物法に基づく特定外来生物に指定されました。
環境省は、クビアカツヤカミキリについて原則として生きたままの移動や飼育などを禁止しています。
(出典:環境省「クビアカツヤカミキリの関連情報のリンク集」)
外来生物法では、特定外来生物について飼育、保管、運搬、販売や譲渡、野外へ放すことなどが原則として規制されています。
ですから、公園で捕まえた個体を虫かごに入れて自宅へ持ち帰り、ペットとして飼うような扱いは避けてください。
小規模防除には運搬の例外もある
ここは少しややこしいのですが、法律の話なので省略せず触れておきます。
2023年4月の改正外来生物法の全面施行に伴い、カミキリムシ科の特定外来生物については、一定の要件を満たす小規模防除に伴う運搬を、運搬禁止の適用除外とする仕組みがあります。
地域の防除活動や自治体の事業などで、生きた個体の取り扱いについて具体的な方法が指定されている場合には、その制度の条件に従うことになります。
つまり、「クビアカツヤカミキリは法律上、どんな状況でも生きたまま1匹たりとも運べない」と言い切るのも現在は正確ではありません。
ただし、これは捕まえた人が自由に自宅へ持ち帰ってよいという例外ではありません。
一般の人がたまたま成虫を見つけた場合は、自治体から別の方法を案内されていない限り、その場で捕殺して情報提供するのが分かりやすく、間違いの少ない対応かなと思います。
飼育や販売はできるのか
特徴的な見た目をしているため、「飼ってみたい」「標本にしたい」「ネットで売れるのでは」と考える人もいるかもしれません。しかし、生きたクビアカツヤカミキリを趣味の昆虫と同じように扱うことはできません。
生きた個体を飼育しない
クビアカツヤカミキリは特定外来生物なので、許可など法律上認められた場合を除き、生きた個体の飼育や保管は原則禁止されています。
「1日だけ観察して明日殺す」「子どもの自由研究が終わるまで虫かごに入れる」という場合でも、一般の昆虫採集と同じ発想で扱わないようにしましょう。
特に成虫が活動する6~8月ごろは、親子で虫取りをする時期とも重なります。
黒い体と赤い胸という見た目は子どもにとっても印象的です。だからこそ、見つけたときは「珍しいから持ち帰る虫」ではなく、「地域へ知らせる必要がある外来昆虫」と教える機会にするのもいいですね。
生きた個体を販売しない
生きたクビアカツヤカミキリを販売したり、他人へ譲ったりすることも原則として規制対象です。
「珍しいから昆虫好きの人なら買ってくれるかも」という理由で、生体を販売するのはやめてください。
外来生物の被害を防ぐ法律なのですから、人から人へ移動させる行為が自由にできてしまっては意味がありません。
メルカリなどへ出品しない
「クビアカツヤカミキリをメルカリで売れる?」と検索する人もいますが、少なくとも生きたクビアカツヤカミキリをフリマアプリなどで売買・譲渡することは考えないでください。
特定外来生物の生体販売・譲渡には外来生物法上の規制があります。
一方、すでに死亡した個体については、生体と法律上の扱いが同一とは限りません。また、フリマサービス側にも出品禁止物や生物・標本などに関する独自の規約があります。
ですから、「死骸なら絶対に自由に販売できる」とこの記事だけを根拠に判断するのも避けましょう。
そもそも一般の人が防除目的で見つけた個体なら、売ることを考えるより、自治体の案内に従って報告・処理するほうが素直です。
違反すると罰金はあるのか
「クビアカツヤカミキリを持ち帰ると300万円の罰金」という話を見て、急に怖くなった人もいるかもしれません。罰則はありますが、すべての行為に一律で300万円が科されるという意味ではありません。
違反内容によって罰則がある
外来生物法では、特定外来生物について禁止されている行為に違反した場合、行為の内容などによって刑事罰が定められています。
環境省の案内では、違反内容によっては個人に対して最高で3年以下の懲役または300万円以下の罰金などが科される場合があります。法人については、違反内容によってさらに高額な罰金が定められている場合があります。
ここで「捕まえた瞬間に300万円」「死骸を持っているだけで300万円」と理解するのは間違いです。
何の行為が規制対象になり、どの例外が適用されるのかによって扱いは変わります。
法律に詳しくない一般の人が覚えておくなら、生きた個体を趣味で持ち帰らない、飼わない、売らない、譲らない、別の場所へ逃がさないという基本を押さえておけばいいでしょう。
間違って捕まえたら相談する
この記事を読む前に、すでに生きたクビアカツヤカミキリを自宅へ持ち帰ってしまった人もいるかもしれません。
その場合、焦って近所の公園へ逃がすのはやめてください。
特定外来生物を野外へ放す行為も問題になります。
自分で判断がつかなければ、自治体の環境担当部署や地方環境事務所などへ状況を説明し、どう対応すればよいか確認しましょう。
「まずいと思ったから、とりあえず外へ逃がした」が一番避けたい対応です。
1匹いたら周囲も確認する
クビアカツヤカミキリを1匹見つけたからといって、その場所に何百匹もいると決まったわけではありません。ただ、近くの木から羽化した成虫である可能性もあるため、周囲を見る価値はあります。
1匹だけでも情報になる
成虫は飛ぶことができるため、発見した場所のすぐ隣の木に必ず幼虫がいるとは限りません。
一方で、周辺のサクラなどから成虫が出てきた可能性もあります。
特に、それまでクビアカツヤカミキリの被害が確認されていなかった地域で成虫が1匹発見された場合、その情報から新しい発生場所が見つかることも考えられます。
だから、「たった1匹だから連絡するほどじゃない」と決めつけなくて大丈夫です。
1匹の発見情報にも意味があります。
サクラやウメの根元を見る
周囲を安全に確認できる場所なら、近くにサクラ、ウメ、モモ、スモモなどの木がないか見てみましょう。
クビアカツヤカミキリの幼虫は木の内部で生活するため、幼虫そのものを外から見つけるのは簡単ではありません。
そこで目印になるのがフラスです。
引用:東京都環境庁「クビアカツヤカミキリの被害が発生・拡大しています!」
フラスとは、幼虫のフンと食べた木くずなどが混ざったもの。幹に開いた穴から押し出され、木の根元へたまります。
色は黄褐色から茶色、赤褐色などで、細かな木くずだけでなく、挽き肉や中華麺、うどんのようにまとまって見えることがあります。
特に大量のフラスが幹から出ている場合は、木の内部で幼虫が活動している可能性を考えるサインです。
大きな脱出孔も確認する
もう一つの手がかりが、成虫が木から出たときに残す脱出孔です。
引用:東京都環境庁「クビアカツヤカミキリの被害が発生・拡大しています!」
クビアカツヤカミキリの脱出孔は、一般的な目安として長径2~3cmほどの縦長の楕円形になることがあります。
ただし、穴があるだけでクビアカツヤカミキリと断定はできません。他の昆虫によって開いた穴もあります。
フラス、大きな脱出孔、近くで見つかった赤い胸の成虫など、いくつかの情報を組み合わせて自治体へ伝えると判断材料になります。
フラスだけでも連絡する
クビアカツヤカミキリを探していても、成虫に出会えるとは限りません。むしろ木の中で幼虫が活動している期間は、フラスから被害に気づくことがあります。
木くずとフンが混ざったもの
フラスは、木を食べた幼虫が排出するフンと木くずなどが混ざったものです。
春から秋にかけて排出が確認されることがあり、幼虫が成長すると量も目立つようになります。
木の根元におがくずがあるだけなら、剪定作業など別の原因も考えられます。
しかし、幹の穴から新しいフラスが押し出されていたり、太い麺のようにつながったものが大量に積もっていたりした場合は要注意。
成虫を一度も見ていなくても、自治体によってはフラスの発見情報を求めています。
勝手に木を切らない
自宅の庭木なら所有者自身で対応を考えることになりますが、公園や街路樹でフラスを見つけても勝手に枝や幹を切ってはいけません。
ましてや幼虫を探そうとして樹皮を大きくはがすのは避けましょう。
被害木は状態によって、幼虫への薬剤処理、ネット設置、伐採など対応が変わります。
伐採する場合も、切った木の内部に幼虫が残っていれば、それを別の場所へ運ぶことで被害拡大につながるおそれがあります。
公共の木で怪しいフラスを見つけたら、写真を撮って管理者や自治体へ知らせるところまででOKです。
自宅の木で見つけた場合
公園ではなく、自宅のサクラやウメからフラスが出ていた場合はどうでしょう。所有者だからこそ自由に切ってしまいたくなりますが、被害木の処分まで含めて考える必要があります。
被害の有無を確認する
まず幹や根元の状態を確認します。
フラスが出ている穴が複数ある、幹が傷んでいる、葉や枝が減っているなどの状態があれば、クビアカツヤカミキリによる被害の可能性があります。
ただし、樹木から木くずが出る原因はクビアカツヤカミキリだけではありません。
写真を撮り、自治体や地域の病害虫防除関係機関へ相談してから対応を決めるのも方法の一つです。
幼虫への防除方法もある
クビアカツヤカミキリの幼虫がいる木では、フラス排出孔から登録された薬剤を注入する方法などが行われています。
ただし、農薬は製品ごとに対象害虫、使える樹木、使用方法、回数などが決められています。
「カミキリムシ用と書いてあるから何でも使える」とは限りません。
使用する場合は、必ずその時点の農薬登録内容と製品ラベルを確認してください。
被害が大きい木では、伐採が必要になるケースもあります。
伐採材をそのまま運ばない
ここも大事です。
幼虫は木の内部にいるため、被害木を切っただけでは駆除が完了しないことがあります。
伐採した幹や太い枝の内部に幼虫が残っていれば、条件によってはその中で生き続ける可能性があります。
そのため、被害木を軽トラックに積み、離れた場所へそのまま運ぶような自己判断は避けたほうがいいでしょう。
自治体の防除方法や処分方法を確認し、必要なら専門業者へ相談してください。
似た虫だった場合はどうする
「赤と黒の虫を見つけたから殺したけど、違う虫だったらどうしよう」と心配になる人もいます。確信が持てない場合は、まず特徴を比べてみましょう。
赤い胸と黒い体を確認する
クビアカツヤカミキリの特徴として特に分かりやすいのが、胸部の赤色と光沢のある黒い体です。
胸部には左右にとげ状の突起があり、触角は黒色。オスは触角が体よりかなり長くなる傾向があります。
一方、赤と黒の模様がある昆虫がすべてクビアカツヤカミキリというわけではありません。
例えばヨコヅナサシガメなど、写真をぱっと見ただけでは一般の人が混同しやすい昆虫もいます。
確信がなければ、写真を撮って自治体へ確認を依頼するのが確実です。
名前が似た別の虫もいる
「クビアカトラカミキリ」という名前の虫もいますが、クビアカツヤカミキリとは別の種類です。
名前だけを見るとかなり紛らわしいですよね。
また「アカツヤカミキリ」「首赤艶カミキリ」など、検索時にはさまざまな呼び方が使われています。
行政機関へ連絡するときは、正式名称であるクビアカツヤカミキリと伝えると話が早いでしょう。
通報先が分からない場合
自治体サイトを探しても担当部署が見つからないことがあります。そんなときに「どこへ電話すればいいの?」と延々検索する必要はありません。
市町村の環境担当へ聞く
最初の窓口として分かりやすいのは、発見場所を管轄する市区町村です。
代表電話しか分からない場合は、代表窓口へ「特定外来生物のクビアカツヤカミキリらしい虫を見つけた」と伝えて担当部署を聞きましょう。
市町村によっては県への報告を案内される場合もあります。
大事なのは、「市役所なのか県庁なのか分からないから何もしない」とならないことです。
県の病害虫防除所にも相談できる
農林水産省では、クビアカツヤカミキリに関する問い合わせ先として、都道府県の病害虫防除所や植物防疫所などを案内しています。
特にモモ、ウメ、スモモなどの果樹園で発見した場合は、農業被害との関係もあるため、地域の農政担当や病害虫防除所につながることがあります。
農家の人であれば、普段利用している農業関係の相談窓口から確認する方法もあるでしょう。
警察への110番ではない
クビアカツヤカミキリを見つけたこと自体で、通常110番へ緊急通報する必要はありません。
「通報」という言葉から警察を思い浮かべますが、この場合は自治体などへの発見情報の提供と考えたほうが分かりやすいです。
ただし、被害木が倒れそうで道路をふさいでいるなど、虫とは別に人の安全へ差し迫った危険がある場合は、その場所の管理者や状況に応じた機関へ連絡してください。
やってはいけない対処
ここまでの内容を逆から見ると、避けるべき行動もはっきりします。クビアカツヤカミキリを見つけたときは、次のような対応をしないよう注意してください。
別の場所へ逃がさない
捕まえたあとに「家の近くでは困るから山へ逃がそう」という行動はやめましょう。
クビアカツヤカミキリの被害拡大を防ぐためには、別の地域へ移すのではなく、その個体を駆除する必要があります。
特定外来生物を野外へ放す行為にも規制があります。
「殺さなければ自然に優しい」という感覚が、この虫については被害を広げる結果になる可能性があります。
自宅で観察を続けない
珍しい虫だからと、虫かごに入れて数日間観察するのも避けてください。
生きたクビアカツヤカミキリの飼育や保管は原則として規制されています。
写真で記録するだけなら、捕殺前に短時間で撮影すれば十分です。
私有地へ勝手に入らない
近くのサクラにクビアカツヤカミキリがいそうでも、他人の庭や農地、果樹園へ無断で入ってはいけません。
自治体によっては捕獲数に応じて奨励金などを出す制度もありますが、だからといって私有地へ自由に入れるわけではありません。
所有者の許可がない土地では立ち入らず、道路や公共の場所から被害が見える場合は自治体へ情報提供してください。
被害木を勝手に壊さない
公園のサクラからフラスが出ていても、自分で穴を広げたり、枝を切ったり、樹皮をはいだりするのは避けましょう。
防除は必要ですが、木そのものにも所有者や管理者がいます。
写真と場所を伝え、その後の対応は管理者へ任せるのが基本です。
見つけたときのよくある質問
最後に、クビアカツヤカミキリを発見した直後に出てきやすい疑問をまとめます。法律に関わる部分は例外もあるため、「絶対」という言葉だけで判断せず、地域の最新案内も確認してください。
クビアカ発見時のよくある質問(FAQ)
Q1. クビアカツヤカミキリを見つけたらどうすればいいですか?
A. 安全を確認したうえで、可能なら写真を撮り、発見場所と日時を記録します。成虫と判断できた場合は、基本的には逃がさずその場で捕殺してください。その後、発見した地域の自治体や県の関係機関などへ情報提供します。通報方法は自治体ごとに異なるため、地域の公式案内も確認しましょう。
Q2. 捕まえたクビアカツヤカミキリを持ち帰ってもいいですか?
A. 個人的な観察や飼育目的で、生きた個体を自己判断で自宅へ持ち帰るのは避けてください。クビアカツヤカミキリは特定外来生物で、生きたままの運搬や飼育などは原則として規制されています。なお、一定の要件を満たす小規模防除に伴う運搬には適用除外があるため、自治体などから具体的な方法を指定された場合は、その案内に従ってください。
Q3. クビアカツヤカミキリは市役所へ通報する必要がありますか?
A. 成虫や特徴的なフラスを見つけた場合は、自治体や関係行政機関への情報提供が推奨されています。市役所の環境担当部署などが窓口になることが多いですが、県の病害虫防除所やウェブ上の専用フォームを案内している地域もあります。全国共通の通報方法ではないため、発見場所を管轄する自治体の最新情報を確認してください。
Q4. クビアカツヤカミキリが1匹いたら大量にいるのですか?
A. 1匹見つけただけで、その場所に大量発生しているとは断定できません。成虫は飛んで移動するためです。ただ、近くのサクラやウメなどから羽化した可能性もあります。周囲の木に大量のフラスや大きな脱出孔がないか、安全な範囲で確認し、発見情報と一緒に自治体へ伝えると役立ちます。
Q5. クビアカツヤカミキリをメルカリで売ることはできますか?
A. 生きたクビアカツヤカミキリを販売・譲渡することは原則として規制されています。フリマアプリなどへ生体を出品するのは避けてください。死亡した個体については生体と扱いが同じとは限らず、利用するサービス独自の規約もあります。一般の人が防除で捕まえた場合は、販売目的にせず自治体の案内に従って処理するのが分かりやすいでしょう。
見つけたらの対処まとめ
クビアカツヤカミキリを見つけたら、写真を撮り、場所と日時を残し、成虫は基本的にその場で捕殺して、自治体などへ情報提供します。
捕まえたあとも、生きたまま個人的に自宅へ持ち帰ったり、虫かごで飼育したり、販売したり、他人へ譲ったり、別の場所へ逃がしたりしないようにしましょう。
一方、現在の外来生物法では、カミキリムシ科の特定外来生物について一定の条件を満たす小規模防除に伴う運搬の適用除外があります。
そのため、自治体が実施する防除事業や捕獲制度に参加するときは、「生きた個体は何があっても絶対に運べない」と自己判断するのではなく、その制度で示された取り扱い方法を確認してください。
- 成虫を見つけたら可能なら写真を撮る
- 発見場所と日時を残しておく
- 基本的には逃がさずその場で捕殺する
- 市町村や県などへ発見情報を伝える
- 生きたまま個人的に持ち帰らない
- 飼育や生体の販売・譲渡をしない
- 別の場所へ移して逃がさない
- 周囲のサクラなどにフラスがないか確認する
そして、「1匹しかいなかったから大したことない」と決めつけないことも大切です。
クビアカツヤカミキリは2026年8月現在、国内21都府県で確認されており、分布域は今も変化しています。1匹の発見が、新しい被害地域を見つけるきっかけになるかもしれません。
木の根元に大量のフラスがある場合も同じです。虫そのものが見つからなくても、場所と写真を自治体へ伝える価値があります。
「その場で逃がさない」「別の場所へ広げない」「発見情報を残す」。この3つを覚えておけば、突然クビアカツヤカミキリに出会っても次に何をすればいいか迷いにくいですよ。


